初めまして。この記事を読んでくれた方ありがとうございます。
私は、元々整備士をやっていましたが、とある事情で大怪我をし、整備士を続けられなくなりました。現在は、整備士の方々に研修をするインストラクター(研修講師)のような仕事をやっています。
本来であれば、自分自身が工具を握り現場でバリバリ整備をやって、お客さんに喜んでいただきたいのですが、怪我の後遺症のためそれが難しく今のような仕事をしています。少しでも現場のみなさんの助けになればと現在の業務に励んでいます。
現在、自動車業界は大変革期であり、整備士の方々は常に新しい技術に対する情報を取得する必要があります。
そういった技術情報を現在の職場で、現場の方々に発信していきたいと思っているのですが・・・、なかなか会社というしがらみの中では限られた情報の提供しか行えない現状があり、このブログの開設にいたりました。
まだまだ不慣れな部分もありますが少しづつ改善できればと思っています。
では、前置きが長くなりましたが、今回のテーマに入っていきたいと思いますが・・・。
前回からの続きで、ホンダ 新型アコードハイブリッド(CY2型)について紹介したいと思います。
この車については、前回の記事でお話したとおり「HondaSENSING360」が搭載されています。
従来の「HondaSENSING 」に搭載されているマルチパーパスカメラ(単眼カメラ)、フロントレーダ(ミリ波レーダ)、パーキングセンサ(超音波センサ)にプラスして、
コーナレーダ(ミリ波レーダ)を車両の前後に搭載することで優れた運転支援を可能としています。
このコーナレーダ照射範囲については、補修塗装に注意点があったり(前回記事にて紹介済み)、ADASセンサについて調整以外の「静止レーダ透過度測定」が追加になっています。
コーナレーダについては、フロントコーナレーダについては、フロントホイールハウス(ボデー部)にブラケットを介して取りつけられており、リヤコーナレーダについては、リヤパネルCOMP(ボデー部)に取りついています。
どちらもレーダの照射部はバンパに覆われていることから、バンパ表面の塗料の影響により、ミリ波レーダ(電磁波)が減衰され正しく検知できなくなる恐れがあります。
そのため、コーナレーダ照射範囲のバンパ補修を実施した後は、ミリ波レーダのdBsm(反射強度)に影響がないか、静止レーダ透過度測定を実施する必要があります。(トヨタ車にもプリウス60型やレクサスNXについては同様の作業があります。機会があればこのブログで触れていきたいと思います。)
静止レーダ透過度測定については、車両側線、車両中心線を基準にターゲット設置点を作成します。
レーザ墨だし器を使用することで、簡単に作成することができます。
作業方法については、フロント左コーナレーダを例にお話しすると、
まず、車両の左側線から作成していきます。左フロントホイール中心、左リヤホイール中心を下げ振りを使用し作成します。
リヤホイール中心からフロント中心を通るようにレーザ墨だし器のレーザを照射し、車両左側線を作成します。レーザ光線上にフロントホイール中心点から1036㎜の位置にマーキングします。
次に、フロントエンブレム中心から下げ振りをたらし、フロント中心点を作成します。リヤジャッキアップスチフナ部の中心から、前記で作成したフロント中心点を通るようにレーザ墨だし器のレーダを照射し、車両中心線を作成します。
作成した車両中心線から最初にマークした位置(左フロントホイール中心から1036㎜の位置)を通るように直角にレーザ墨だし器のレーザ光線を照射し、1708㎜の位置にターゲット設置点をマーキングします。
次にターゲットをフロントコーナレーダの高さを合わせますが、リヤドアロアヒンジの下端にターゲットのテストピンを合わせます。(純正SSTの場合。汎用の三角ターゲットであれば、ターゲット中心点を合わせます。
ターゲット設置点にてターゲット電波反射部が修理書に支持されている位置(ヘッドライト側端部)を向くように設置します。
ターゲット設置点とヘッドライト側端部部を通るようにレーザ墨だし器のレーザを照射し、レーザ光にターゲット中心を合わせるように設置するとやりやすいです。
ターゲット設置後は、スキャンツールを接続し、作業サポートより静止レーダ透過度測定を選択し、バンパ着状態と脱状態でのdBsm値の差を確認します。
数値差が-9以上あれば正常です。
測定時には、バンパ脱状態であってもバンパに取りつくミリ波レーダまでの配線は接続しておく必要があります。(エラーがでて作業を実施できな恐れがあります。)
作業は実際にやってみるとおおよそ15分(片側作業時間)ほどで完了します。
この作業については、バンパ補修塗装時には必ず両側コーナレーダの透過度測定をやる必要はなく、補修して測定が必要となる側(片側)のみで大丈夫です。
今後ホンダについては、「HondaSENSING360」搭載車は増加すると思われますが、その際には補修塗装可能な損傷や補修塗装の方法をしっかり調べ、忘れず静止レーダ透過度測定を実施する必要があります。
以上が今回の記事になります。
整備士のみなさんにお役に立つ情報をまた発信したいと思っているので、閲覧されてタメになったかたは、コメントに何か残していただけると幸いです。
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